フロアコーティングの種類にUVコーティングという物があります。UVという名前が付いているからフローリングを紫外線から守ってくれるフロアコーティングと思いますよね。実はUVコーティングは紫外線から守るコーティングではなく、使われている樹脂の名前になります。
名称の由来
樹脂と聞くと、松ヤニや蝋をイメージしますが、それ以外でも揮発成分が気化して固まる性質のものも樹脂と言います。イメージされた、松ヤニや蝋は天然樹脂といい、気化して固まる性質を人工的に作ったものを合成樹脂と言います。合成樹脂にはアクリル樹脂・ウレタン樹脂・シリコン樹脂など種類は沢山ありますが、これらの樹脂は有機溶剤又は水を混ぜて、有機溶剤又は水が気化するときに固まる樹脂になります。一方UVコーティングに使われている樹脂は紫外線硬化樹脂という物になり、紫外線硬化樹脂は紫外線を当てると瞬間硬化する性質があります。この紫外線硬化樹脂の紫外線の英名(ultraviolet rays)の略名であるUVからUVコーティングと言う名称になります。
つまり、UVコーティングとは紫外線(UV)からフローリングを守るコーティングではなく、紫外線(UV)で硬化しているコーティングになります。
固まる速度が速いと何が良いの?
他のフロアコーティングは樹脂か完全に硬化するまで、夏場で1日~2日、冬場で2日~3日程かかります。一方UVコーティングは工事が終わった時はすでに樹脂が硬化しているので、工事終了後、すぐに部屋に入ることが出来ます。鍵の引渡しを受けて一日でも早く引っ越したいという場合や、すでに入居している場合でも乾燥時間を待たずに部屋に入れます。さらに、すぐに硬化するという事は、異物混入が起こりにくいというメリットもあります。フロアコーティングを塗る前、念入りに床の異物を取り除く掃除をしますが、空気中はどうでしょう。空気中には小さな塵や埃が舞っています。1日~3日の硬化を待っている間、空気中に舞っていた塵や埃が床に落ちてきた場合、フロアコーティングと一緒に硬化してしまいます。
UVコーティングは薬品に強い
UVコーティングはフロアコーティングの中で唯一塩素系の薬品にも対応しています。塩素系の薬品は酸性の物と結びつきやすく、結合を壊す性質があります。(物が溶けているように見えるのは結合していたものがバラバラになる為)UVコーティングは樹脂同士がモノマーというもので結合しています。このモノマーは塩素と結びつくことが無い為、塩素系の薬品にふれても、結合が壊れることがありません。赤ちゃんと暮らしている家庭ですと、ウイルス対策で哺乳瓶や食器を塩素系の薬品に浸けておくことがあると思います。もし、浸けていた液体がフロアコーティングの上にこぼれてもフロアコーティングがダメになる心配がありません。
滑り止め効果が優れている
紫外線樹脂は地面が滑らないようにする防滑工法でも用いられています。ホテルや病院、地下鉄の駅などではUV樹脂を使ったUV樹脂工法が施されています。何もしていないフローリングは滑りやすく転倒し易いですが、UVコーティングを施工した床は摩擦係数が高く、生活に適した滑り止め効果があります。
塗膜が硬く傷が付きにくい
フロアコーティングの中で一番塗膜が硬いのはガラスコーティングになります。ガラスコーティングの硬度は7H~9Hもあるので多少の衝撃でも塗膜が削れることは有りません。一方、UVコーティングの硬度は5H~6Hとなり、ガラスコーティングと比較すると若干硬度が落ちるものの、日常生活であれば傷が付きにくい硬度になります。シリコンコーティングの硬度が3H~4Hなので、ガラスコーティングとシリコンコーティングの中間の硬度になっています。
UVコーティングのご説明いかがだったでしょうか?紫外線硬化樹脂は様々なところで使われ、身近なところだとテーブルの表面や携帯端末の仕上げ、ネイルのレジンも同じ樹脂が使われています。幅広い用途に対応できる万能塗料がUVコーティングになります。