前回のコラムで水性コーティングと油性コーティングはどちらが良いかをご紹介しました。今回は、水性コーティングより油性コーティングの方が優れているのに、インテリアオプション販売会で販売されない理由をご紹介いたします。
インテリアオプション販売会で扱っているフロアコーティングは「水性コーティング」となっていますよね。ですが、少し前まではインテリアオプション販売会でも油性コーティングが売られていました。何故インテリアオプション販売会でのフロアコーティングは水性だけになってしまったのでしょう。
新築でもフローリングには傷がある
新築物件と聞くとまずイメージするのは、「傷一つなく未使用」の綺麗な内装だと思います。新築物件のイメージとして「未使用」は正しい内容ですが、「傷一つない」は間違っています。
キッチンやトイレ、洗面台を見てみれば分かりますが、これらの設備はフローリングの上に乗っていますよね。室内の内装を仕上げる時、最初に取り掛かるのは床。フローリングから張っていきます。もちろんフローリングが傷付かないように養生をしますが、重たい設備を運ぶ時うっかり傷付けてしまうこともあります。ここで問題なのが、フローリングは一部張り替えが出来ないということです。
フローリングは「実(さね)」という部分で重なっていて、1枚だけを交換することが出来ないのです。そのため、一部に傷が付いてしまった場合、フローリングの全面張替はせず、補修で傷が無かったように仕上げます。(傷をパテで埋めて表面に木目を書いていきます)
油性コーティングの施工には有機溶剤を使う
油性コーティングは長い耐久性を持たせるため、有機溶剤(シンナーやアセトン等)を使います。これらの有機溶剤は補修で仕上げた木目の色を落としてしまうため、補修してあるということがハッキリと分かってしまいます。マンションを買った人は「傷一つない」と思っているので、デベロッパーに交換して下さいと要求したくなりますよね。
但し、先程説明したようにフローリングは一部だけでの張り替えが出来ない為、繋がっている部分すべてを交換しなければならなくなります。デベロッパー側からしてみれば、何もしなければ気付かれないものが、油性のフロアコーティングをすることで気付かれてしまう羽目になってしまいます。
そんなリスクを負うくらいなら有機溶剤を使用しない水性コーティングのみにしようという結論から、インテリアオプション販売会では油性コーティングがなくなってしまいました。良い商品なのに、自分たちのミスがばれるという理由で紹介しなくなったのは残念です。
外部のフロアコーティング専門店で油性コーティングを頼んでも大丈夫?
フロアコーティング専門店で油性コーティングを施工しても補修の跡は出てきます。これは良かったと思って下さい。デベロッパーがお客様にばれないように補修仕上げで床の木目を書いたものは長持ちしません。普通に生活していても半年、一年後には色が落ちてきて補修してあることがハッキリ分かるようになります。
半年、一年後にデベロッパーに補修の事を言っても、納得して引き渡しを受けていますよねと言われて終わりです。引渡し直後に補修が発覚する場合と、半年、一年後に補修が発覚する場合ではデベロッパーの対応も変わってきます。早期発見することによって、ご納得いく仕上がりをデベロッパーに求めることが出来ます。
ちなみにフローリングの寿命は10年~15年と言われていますが、10年~15年で張り替える人はほとんどいませんよね。油性のフロアコーティングは長期にわたって傷、汚れからフローリングを守ってくれます。