新型コロナウィルスの感染が拡大し、終息する気配も見えず、不安な日々を送っている方も多いと思います。
建築業界も新型コロナウィルスの影響で住宅設備の一部が納品できない事態が発生しており、業界全体に大打撃を与えていますが、コーティングの原材料が流通ストップされていないのが救いです。
そんな新型コロナウィルスの予防は手洗い、アルコール消毒が基本となっていますが、手洗い、アルコール消毒以外でも出来る事はないのでしょうか？
新型コロナウィルス予防は何故インフルエンザウィルス予防と同じ方法？
新型コロナウィルスの予防方法はインフルエンザウィルスの予防方法と同じと言われていますが、新型コロナウィルスの治療方法が確立していない中で、何故予防方法はインフルエンザウィルスと同じと言えるのでしょうか？
ウィルスの遺伝物質（ＤＮＡまたはＲＮＡ）はカプシドと言う殻に覆われていますが、ウィルスによってはカプシドをさらにエンベロープという物で覆われているものがあります。
エンベロープで覆われているウィルスをエンベロープウィルス、覆われていないウィルスをノンエンベロープウィルスと言います。
ウィルスは菌と違って、それ単体で分裂や増殖をすることが出来ず、他の細胞に取り付かなければ増殖することはありません。カプシドを覆っているエンベロープはウィルスが他の細胞に取り付く際に重要な役割を持っていて、新型コロナウィルスはエンベロープから出ている蛋白が他の細胞と結び付きます。
コロナウィルスの語源は、このエンベロープから出ている蛋白が王冠の形をしていることから、王冠（crown）のギリシャ語coronaから来ています。
新型コロナウィルスとインフルエンザウィルスの予防方法が同じなのは、両方ともエンベロープウィルスで、石鹸に含まれる界面活性剤やアルコールがエンベロープを壊すことが分かっているからです。
エンベロープウィルスはエンベロープが無ければ、他の細胞に取り付くことが出来ないので、エンベロープを壊す手洗い、アルコール消毒が新型コロナウィルスとインフルエンザウィルスの有効な予防ということになります。
他にもあるウィルス予防
アルコール消毒が新型コロナウィルス予防に効果的ですが、薬局を何件も回っても品切れで買えないですよね。そんな時は種類が同じインフルエンザウィルスへの抗ウィルス効果があるもので代用できます。
代用品には「アルコールと何が違うの？」と思うエタノールやIPA（イソプロピルアルコール）があります。これらはアルコールの一種なので抗ウィルスの効果があり新型コロナウィルスの予防に効果的になります。但し、似たような名前のメタノールは劇物に分類される為使用は止めて下さい。
抗ウィルス効果が高いと言われているものに次亜塩素酸ナトリウムがありますが、次亜塩素酸ナトリウムはエンブロープだけでなく、殻のカプシドを壊す効果があり非常に強い抗ウィルス性能があります。
強い抗ウィルス性能がある次亜塩素酸ナトリウムは、新型コロナウィルスだけでなくノロウィルスなどノンエンベロープウィルスにも効果を発揮しますが、腐食性があるので消毒で使うには肌に悪く、塩素系の薬剤に対応したもの以外は使用が出来ません。
他に安心して使用できる抗ウィルスで酸化チタンというものもあります。酸化チタンは光が当たると化学反応を起こし、酸化分解力を持ち、界面活性剤やアルコール類同様、エンベロープを壊す働きをします。
酸化チタンは光を当てることによって効果が発揮される光触媒の為、光があたらない暗闇では効果が発揮されないので注意して下さい。
光触媒ってなに？
光触媒と聞くと聞きなれない言葉ですが、酸化チタンは光が当たると光に含まれる紫外線で化学反応を起こし、酸化分解力を持つイオンを発生させます。
酸化チタンが化学反応するメカニズムは、酸化チタンに光が当たると、電子と正孔が発生し、発生した電子と正孔が空気中の酸素と湿気（水）と結合しスーパーオキサイドイオンとOHラジカルになります。
1つの物質から2つのイオンが発生する為、酸化チタンの光触媒は次世代の塗料と言われています。
以前の光触媒は、太陽の強い紫外線にしか反応しなかった為、屋内に光触媒をしても化学反応がおきず抗ウィルスの効果は表れませんでした。
しかし、最近は光触媒の研究が進み、蛍光灯やLFDの弱い光でも化学反応を起こす光触媒も開発され、屋内での光触媒が効果を発揮できるようになりました。
その為、光触媒は現在、病院、老人介護施設、公共交通機関、人が多く集まるヤフードーム等で施工されていて、一般的な家庭へはこれから普及すると言われている触媒になります。
まとめ
新型コロナウィルスは未知のウィルスの為、治療において効果的な物が何なのかは未だに発表はされていません。光触媒が新型コロナウィルスの予防に効果的という結果は、今は実験中になりますが、同じエンベロープウィルスのインフルエンザウィルスでは効果的と結果が出ているので触媒になります。